私たち塾の教師は、幼児教育には携わりません。
しかし、幼児教育を引き継いで学習を教えるわけなので、どうしたって幼児教育を土台にしなければならない部分があります。
そうした、学力の「土台」となる力は何か。
その答えを、幼児教育の後任担当者として私見を述べます。
まず、早期教育はほとんど必要ないです。
私は子供が3人いるのですが、2歳の娘にかけ算を覚えさせてみたことがあります。
これは学習能力を上げるためではなく、反復によって知識が身につく程度を実験的に知りたかったからです。
小学校で初めて習うかけ算を、2歳からできたからと言って別にすごいことでもありません。
小学生になれば、誰でもできますからね。
その段階におけるプロがしっかりと教えるので、早めにやっておく必要はないんです。
強いて言うなら、英語の臨界期仮説くらいでしょうかね。
これもあくまで仮説なので、実証されていませんが、めっちゃ簡単に言うと、
第2言語習得に効率的な年齢期には限度があるという仮説です。
実証できていないので反論もできません。私見では、あると考えていますが。
しかし、幼児教育ではそんな「学力」はどうでもいいんです。
学力は土台さえあればいくらでも私たち後任が身に着けられます。
そこではなく、幼児期にしっかり身に着けておいてほしいのは、
【非認知能力】です。
非認知能力というのは、自分を動機づける(自分をやる気にさせる)力です。
長期的な視野で行動する力です。
自分を信じる力です。
他者を信頼する力です。
自分の感情をコントロールする力です。
まとめると、人間の基礎となる力、というところですね。
まさに土台。そこさえあれば学力なんて所詮枝葉なんです。
その枝葉をつけるために、根本的に必要な土台の力が、非認知能力なんです。
そして、この非認知能力は、幼児期ほど獲得しやすい。臨界期仮説のようなものです。
これは実証するまでもないほど当然の話だと思います。
もちろん締め付けは私も大反対です。幼児期から山で修行させようって話ではないんです。
動機付けがもっとも手軽で、もっとも難しい相手が、自分だからです。
大人になればなるほど、新しいことへの挑戦はしなくなりますよね。
時間や能力を言い訳にする人も多いですが、実際はもっと単純で、そこまで必要ないと感じているからですよね。
ある日いきなり外国での生活が始まったら、嫌でも現地の言葉を習得しますよね。
緊急性がある、適応という行動です。
しかし幼児期の子供はどうでしょう。その緊急性を、大人が作れるのではないですか?
パパやママに褒めてほしいから頑張る、というのは幼児期の子供にとっては緊急性が高いです。大至急、褒めてもらわなければいけない状況なんです。
上記はほんの一例ですが、そういった状況を積極的に作って、あとで種明かししてあげればいいと思います。平たく言えば、「頑張り方を教える」ということです。
もちろん、この非認知能力のトレーニングは、塾でも行われます。
やりたくない宿題を出すのも、その意味合いが含まれます。
しかし彼らは生徒です。修行僧ではありません。
「若いうちの努力や苦労は買ってでもしなさい」
なんて言葉を言われた通りに実行できるはずもないです。
私たちにできるのは、
非認知能力が高い生徒はそれを土台に成績を伸ばすこと。
非認知能力が低い生徒はその獲得と、苦痛を感じさせないよううまく胡麻化しながら努力させること。
大きくわけるとこの2つです。
正直、前者の生徒はどこの塾に行っても、あるいは志望校によっては塾に行かなくても、
成績は伸びます。先生も素人で大丈夫。質問さえ答えてくれればいいので、ネットでOKです。
私の職業柄、この非認知能力の大切さはかなり大きく感じます。
それをつけることが、幼児教育の1つの成功と言えるのではないでしょうか。
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